一般社団法人 日本REPエージェンシー協会 Japan Rep Agency Association


ニュース・活動報告

1 はじめに

当協会は、クリエーター(写真家、スタイリスト、ヘアー、メイク、ライター、イラストレーターなど)のエージェントが38社集まり、2009年に設立し、2010年に法人化した協会です。
当協会は、法人化以前より当協会会員社所属クリエーターの権利・利益擁護に尽力しておりましたが、法人化を契機として顧問弁護士を迎えて、より一層のクリエーターの権利・利益の擁護に取り組むとともに、関係団体との連携をさらに深め、デジタルコンテンツの目まぐるしい変化を踏まえ、取引先各位とクリエーターとの共存共栄を目指した取引環境の構築を目指しています。

2 ガイドライン総論

1.スタイリスト、ヘアー、メイクも著作者です

スタイリスト、ヘアー、メイクも写真の制作過程への関わり方によっては、写真家と同様に、写真の著作物を創作した著作者として著作権及び著作者人格権の主体となり得ると考えられます。このような写真の二次利用については写真家だけでなくスタイリストやヘア-、メイク等の許諾も必要であると考えます。
詳しくは当協会顧問弁護士による意見書をご覧ください。

2.過去の成果物の二次使用についても別途合意が必要

過去に制作された成果物(既に納品された成果物も含まれます)のデジタルアーカイブ化、ウェブを含めた二次使用については、著作者との間で明示的な合意(複製及び自動公衆送信の許諾)がない以上、使用料の支払いの要否も含め、新たな契約をご締結いただく必要があります。

3.個別契約書面(発注書面)の発行が必要

コンプライアンスの観点から、下請法等の法令に照らし、従来口頭で済ませていた契約慣行を改め、受発注書等の書面の交付により契約内容を明確化することが必要です。 受発注書の当協会のひな形は、こちらからダウンロードすることができます。

4.著作者人格権への配慮が必要

著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)やパブリシティ権など、クリエーターの人格的価値への配慮は重要であり、成果物に改変を加える場合は、事前の合意が要求されることが大原則です。特に、利用形態が想定困難なデジタル使用にあっては、なおさらクリエーターへの配慮が必要となります。

5.使用料の支払い時期の制限の順守が必要

コンプライアンス遵守の観点から、使用料の支払いは、成果物の受領後もしくは役務の提供後2ヶ月以内(下請法上は60日以内で、かつ、できる限り短い期間内と定められています)に支払われる必要があります。

6.利用範囲の拡大に際しては使用料への配慮が必要

成果物の利用の範囲を包括的なものとする場合、媒体等が限定されていた既存の取引と比較して、使用料について相応の増額を求められるのが原則です。

7.不公正な取引の排除

個々の具体的な業務内容を全く考慮しない使用料についての一律減額の要請(使用料の増額を伴わない利用の範囲の要請も実質的には減額の要請と同様と考えられます)は認められるものではありません。独占禁止法、下請法や各種ガイドラインを踏まえて不公正な取引慣行・取引条件を排除・回避することが必要です。

3 ガイドライン各論

1.クリエーターのみなさまへ

(1)エージェントとのコミュニケーション

現場での創作活動は、柔軟な対応が求められる一方、当初の発注先からのご依頼の趣旨から逸れる要望や追加の依頼があり、対応に困惑したり苦慮することもあるあるかと思います。その場合は、自分で判断したり対応したりする前に、まずは所属エージェントにご一報いただき十分な協議をしてください。

(2)個人情報や営業秘密の保護

業務上知った(または知り得た)個人情報やイベント情報、企業情報、タレントやモデルの情報といった事項については、ブログやSNSへ安易に書き込んだり、第三者への漏洩がないようご留意ください。詳しくは、各会員社の専属契約上の規定をご確認ください。

2.取引先のみなさまへ

(1)新規取引の場合

新たに取引を開始する場合は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律や暴力団排除条例などの趣旨に従ってお取引先を確認させていただきますので、一定の書類の提出などご協力をお願いいたします。

(2)取引情報の共有

不渡りなど不良取引先についての情報は、協会所属会員間において情報が共有されますことを予めおことわり申上げます。

(3)業務委託料について

業務委託料ないし使用料は、受発注書に明記された範囲内での使用の許諾に対する対価に過ぎません。他の公告媒体に使用する場合や期間を超えた使用については許諾はされていませんので、改めて許諾を得る必要がありますし、その際追加の使用料等が発生するのが原則です。

(4)制作環境の整備

制作業務が正午や深夜に及ぶ場合は、適宜の休憩時間を取るよう配慮するほか、食事をお取引先の責任でご用意いただくようお願いいたします。

(5)キャンセル

ご依頼を受けた業務のキャンセルについては、原則として以下のようなキャンセル料が発生します。詳しくは個別の契約条項によります。
 1. 前日、当日 経費等の実費相当額及び報酬額の100%
 2. それ以前  スタジオや人員、機材の手配が完了している場合は、経費等の実費相当額及び報酬額の50%から100%

制定 2012年4月1日